ベルギーのゲントで開かれたInternational Symposium on Mechanisms of Innate Immunity, Cell Death and Inflammationに参加してきました。当シンポジウムは細胞死、特にネクロプトーシスの研究で著明なゲント大学のPeter Vandenabeeleを中心として企画運営されたため、細胞死のメカニズム、細胞死に関連した炎症、疾患に関する発表が多く、新学術領域“ダイイングコード”のコンセプトと極めて近いシンポジウムでした。その中でも印象的だったのは、caspase-12欠損マウスがLPSによる敗血症に耐性を示すという2006年のNatureの論文に対して、ゲント大学のMo Lamkanfiが根本を覆す解釈を発表していました。彼らは2011年のNatureに129マウスでは突然変異により機能的なcaspase-11が欠落しており、129バックのcaspase-1欠損マウスでは機能的なcaspase-11も同時に欠損しており、当該マウスのフェノタイプはcaspase-11に起因することを報告しています。今回新たに、129バックで作製されたcaspase-12欠損マウスのフェノタイプの原因もcapsapse-11欠損にあったと結論付け、LPSによるnon-canonicalなinflammasome活性化におけるcaspase-11の重要性を強調していました。しかしながらcaspase-11はヒトには存在しないため、その機能的ホモログと考えられるcaspase-4,5の機能解析の必要性にも言及していました。